作 家三代徳田八十吉
石川遼選手の優勝トロフィーもデザインした 人間国宝・三代徳田八十吉
三代徳田八十吉は、1933年に生まれた、日本を代表する陶芸家です。
1873年に生まれた初代の徳田八十吉の薫陶を受けて、九谷焼に新たな世界を生み出しました。
金沢美術工芸大学短期大学の工芸家において陶磁を専攻し、二代目徳田八十吉に師事。
1988年に三代目を襲名すると、1991年の第11回日本陶芸展において、大賞と秩父宮賜杯をあわせて受賞しました。
そしてそれまでの功績が認められ、1997年には晴れて人間国宝の認定を受けました。
九谷焼の技術をより新しいものにするべく、古九谷の研究を長年行い、学術的な研究成果においても高く評価される結果を残しています。
その名は日本にとどまることなく、骨董品マーケットにおいては世界的な知名度を獲得している、数少ない陶芸家のひとりでもあります。
三代徳田八十吉の作品を際立たせているポイントとは?
三代徳田八十吉はこれまでの伝統的な九谷焼とは一線を画した、より洗練されてモダンな焼き物を開発。
伝統的な九谷焼では、人物や山水画、花鳥風月などをかたどったデザインを施すのが一般的でしたが、三代徳田八十吉の作品においては、そういった具象的なデザインはなくなります。
その代わりに、70色もの細かな色のグラデーションを使って抽象的なデザインを作り上げるのです。
また、それまで九谷焼の焼きの工程においては、900度前後で焼成を行うものでしたが、三代徳田八十吉はそれを1000度にまで上げました。
そのことによって、これまで見られなかったより深い色合いを表現することが可能になったのです。
また、ろくろを使って形成を行いますが、面取り成形とすることで、より立体的な作風に仕上げることにも成功。
これらの新しいさまざまなテクニックを駆使していくことで、骨董品マーケットにおいて特に評判となる作品を世に出すことができたのです。